遺族年金を受給していた人が再婚したら遺族年金はどうなるの?
遺族年金を受給していた人が再婚(事実婚)をしたら遺族年金はどうなるか?
遺族年金を受給している方が再婚や、婚姻届は出さない同棲をして事実婚状態となっていた場合、遺族年金の取り扱いはどうなるのでしょうか。
遺族年金と再婚(事実婚)の関係については以下の通りです。
1 再婚や事実婚によって支給は停止されるのか?
2 受給者が再婚(事実婚)となった場合の手続きは?
3 復氏や復籍、姻族関係の終了では遺族年金の支給は停止されるか?
まとめて説明しますと
遺族年金は、再婚(事実婚、内縁関係)すると受給権を失います。
事実婚とは婚姻届を出さずに、夫婦として共同生活していると認められるような関係を指します。事実婚とは、通常下記のような生活状況の場合は事実婚だと見なされています。
1. 当事者間に夫婦として共同生活をしていると認められる事実関係の合意があること
2. 当事者間に夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること
当事者は婚姻届を出していないだけで、意志も、他人から見た夫婦と変わらないというような場合は、婚姻している夫婦として扱う、ということです。
遺族年金には、国民年金に加入していた一定の遺族が受けられる遺族基礎年金と、厚生年金に加入していた一定の遺族が受けられる遺族厚生年金とがありますが、どちらも遺族の生活を保障するためのものです。
そのため、遺族の方が再婚や事実婚などによって別の方に生計を維持されることになった方や、自身で生計を維持するようになった場合には、遺族年金支給が停止されます。
遺族年金の受給者が再婚(事実婚)となった場合の手続きは?遺族年金を受けている方が再婚(事実婚)となった場合には、支給が直ちに停止されるわけではなく、基本的に受給者本人からの申し出により停止されます。
遺族基礎年金は再婚など受給権を失う事由に該当した日から、14日以内に、遺族厚生年金は10日以内に、「遺族年金失権届」と年金証書を最寄りの年金事務所や街角の年金相談センターへ提出することが必要とされています。
この手続きを行わない場合には、不正受給に該当してしまう恐れもあります。
復氏や復籍、姻族関係の終了では遺族年金は停止されない
配偶者の死後、婚姻前の姓に戻す「復氏」や婚姻前の戸籍に戻る「復籍」または死後離婚により、亡くなった配偶者の親など親族との関係を終了させる手続きをして、新しい人生をスタートさせようとする方がいらっしゃいます。
この場合の遺族年金との関係は、亡くなった方との関係を消滅させる手続きとされる復氏や復籍、姻族関係の終了手続きをすると、遺族年金は受けられなくなるように感じられます。ところが、実際はそうなりません。
復氏や復籍、姻族関係の終了手続きをしても、遺族年金を受けている方の生活基盤や収入、生計に影響が及ぶことはないために、遺族年金の支給は停止されません。
まとめ
遺族年金の受給中に再婚(事実婚など)した場合は、受給者の収入や相手方の資力などに関係なく遺族年金の受給権を失います。再婚(事実婚)後に遺族年金失権届を提出せず、遺族年金の支給が継続すると、不正受給となる可能性があります。注意しましょう。
離婚時に年金分割した妻は、再婚したら年金はもらえなくなるの?
センターでご相談を受けていると、年金分割について知らない女性が多いことに気付きました。
年金分割は、離婚後に元夫の年金の一部を受け取ることができるという制度でぜひとも勉強しておきましょう。
ここでは、年金分割とはどのような制度か、年金分割を受けた後に再婚したら年金の扱いがどうなるかなどを見ていきましょう。
年金分割とは
年金分割は平成16年に導入されました。話し合いや調停で分割請求をすることにより、離婚後に配偶者が納付してきた年金保険料によって受け取れる老齢年金の一部を分割してもらうという制度です。
この制度を利用できるのは、離婚後の翌日から2年以内、あるいは離婚成立後に元配偶者が亡くなってから1ヶ月以内の請求となっています。
また、分割請求できるのは配偶者が自分より高額の年金保険料を納めていた老齢厚生年金に対してだけで、確定拠出年金や国民年金基金、老齢基礎年金は請求できません。
ただ、年金分割の手続きをしても、納付保険料や婚姻期間に応じて分割されので、数千円~3万円程度の増額にしかなりません。
それでも、生涯受け取ることができる重要な資金源にはまちがいありませ。単純に配偶者の年金額の2分の1を受け取ることができると思っている方も多く、その金額は年金事務所で確認する必要があります。
離婚後に再婚した場合はどうなるのか?
離婚して権利が発生する年金分割は、受け取る側の再婚でどうなるのか気になるところです。
この年金分割は婚姻期間中の年金保険料を納付していた実績を分割するということですので、離婚後に再婚した場合でも問題なく受け取れます。年金分割で受け取る年金受給額は婚姻期間中の実績で計算されるものですから、その後の年金保険料の納付や再婚などでは一切影響されません。
具体的には、妻が夫から年金分割をしてもらい、その後に妻が再婚しても分割した年金を受け取ることが可能です。また、元夫が再婚した場合も同様です。また、元夫が死亡しても、元夫から分割を受けた部分については元妻が生きている限り受け取ることができるのです。
なお、年金分割をすると、婚姻期間中の実績は元配偶者にその部分が引き継がれます。上記のケースでも元妻が先に死亡したでも、元夫に分割された実績が戻ってくることはありません。
元夫にはメリットがない制度なので、「俺は年金分割に応じない」といいう方もけっこういますが、話し合いで解決できないときには家裁の調停で判断してくれます。
年金分割制度を利用するには
最初に年金分割に必要な情報通知書を日本年金機構から取り寄せて下さい。案分割合を決めるためです。年金分割は二つの方法があります。一つは合意分割で、平成19年4月1日以降に離婚した双方が話し合いや家裁調停で割合を決定する方法です。
もめることなく案分割合が決まれば調停の必要もないのですが、話し合いで決められなかった場合は家裁で調停(または審判)をしなければなりません。案分割合が決まったら、年金事務所に年金分割請求を行い、ちょっと難しい言葉ですが標準報酬改定通知書を受け取ることになります。
もう一つは3号分割です。このやり方は、厚生年金被保険者の扶養に入っていた専業主婦(3号被保険者といいます)に婚姻期間中の厚生年金記録の2分の1を分割する制度です。
この3号分割は、法律で割合が婚姻期間中の年金記録の半分と決まっているため合意する必要はなく、年金事務所で年金分割の請求をすることにより手続きが終了します。ただ、離婚後は扶養から外れますから、59歳11ヶ月まで国民年金保険料を納付しなければなりません。この点は注意が必要です。
年金分割は早めの手続きがおすすめ
このように、年金分割は期限があり手続きをしなければ利用できない制度ですが、離婚後に争いになる心配はありませんからぜひとも活用しましょう。
離婚後にあらためて元配偶者に手続きの協力を依頼することはそうとうにストレスになりますので、離婚の話し合いと並行して手続きを進めるようにしましょう。
年金分割の申請方法
お近くの年金事務所へ行って、以下の流れで年金の案分割合を決めます。
(1)情報通知書の請求手続き開始
この手続きは、離婚の前でも後でも行うことができますが、取得までに時間が掛かりますので早めに請求しましょう。
(2)「年金分割のための情報通知書」の受け取る
(3)話し合いによる合意
3号分割のみ請求する方は、2人の合意は必要ありませんので、第3号被保険者であった方の手続きで年金分割は認められます。(6)へ。
(4)合意できた時は(6)へ進む
(5)合意できないときは、家庭裁判所へ調停(審判)の申し立て。
(6)年金分割の請求手続き
請求手続きは、離婚をした後に行います。
(7)「標準報酬改定通知書」の受け取ります
案分割合に基づき、厚生年金の標準報酬を改定し、改定後の標準報酬を日本年金機構から双方に通知がきます。なお、共済加入期間を有する場合は共済組合等から通知が届きます。
以下のフォームに必要事項をご記入の上、「送信する」ボタンをクリックしてください。
入力がうまくいかない場合は、上記内容をご確認のうえ、メールにてご連絡ください。
送信先アドレス:example@example.com