離婚公正証書を作る時の注意点
離婚公正証書を離婚する夫婦だけで作る場合には、次のことを確認してから公証人へ作成依頼をお願いしましょう。
注意その1.離婚届を提出するのは、なるべく女性にしましょう。
●●と▲▲は離婚する。離婚届けは、公正証書作成後20日以内に女性▲▲が届け出ると入れてもらいましょう。男性に届出を任せると後で女性が困ることも多々あるようです。
注意その2. 養育費の支払い。
世間相場よりも高い養育費を、男性が承知したからとか、女性は子どものためにもらいたいので男性に承知させて記載してもらうのは、止めましょう。
兎に角離婚をしたいばかりに往々にして男性が高額な養育費を承知するケースがあります。
公証人は、養育費の額が高いとか安いとか判断することはしませんし、できません。
離婚する双方が合意した養育費の額を公正証書に作成するだけです。
男性は、高額な養育費を払えなくなると家庭裁判所に養育費の減額を申立てるかもしれません。すでに、離婚は成立していますから、他人になった元夫婦が、調停で養育費の金額で争うこともままあることなのです。
「えーー。公正証書で作成した養育費の額が訂正できるのですか?」と疑問を持たれるかもしれませんが、結論としては、「可能です」。
時間がかかるかもしれませんが、養育費の減額の申立ては、けっこうあるのです。
注意その3.面会交流の回数。
離婚しても我が子に会いたい親の気持ちは、夫婦がどんな状況になっても変わりません。逆に夫婦が不和になるほど子どもと会いたいという気持ちは双方ともに増すのかもしれません。
だから、離婚協議書を公正証書にしてもらうときには、気を付けなくてはなりません。子どもの親権をとる方は、なるべく会わせないようにしたい気持ちがどこかにあるでしょう。
子どもの親権を譲った方の親は、色々な事情があって譲ったわけですが子どもと会いたい気持ちは、一段と強いものがあります。
よく見るケースは、離婚をしたいがために、相手の言うままに離婚回数を受け入れるケースです。
家庭裁判所で決める回数は、「月に1回程度の面会交流を認め、日時場所等については双方が子どもの福祉を最優先に考えて決めることとする」という玉虫色の文言にする場合が多いのです。
あくまで、面会交流の主役は子どもたちなのです。
だから、子どもの福祉に配慮してという表現が使われますが、双方は離婚を承知する代わりに、面会交流の回数を増やしたい側と回数を認める側に分かれるのです。
そして、双方は離婚後に家庭裁判所で面会交流の回数をめぐり争うことになるのです。
しかも、この面会交流の回数や面会交流そのもので争う場合は、双方が対立すると解決までの時間は、みなさんが相続する以上に長くなります。
1年以上、2年を超えるような調停は、多く見られます。
しかも、最近の離婚公正証書を作成するサービスをお受けになる士業の先生方が増えています。
しかし、その士業の先生方が面会交流の実際を経験することは、ほとんどありません。それは、公証人についても同じです。
なぜこのような争いになる面会交流を決めたのかという疑問を持つことも度々あります。
これは、ひとえに依頼者からの要望に応えようとする気持ちから作成されていると拝察しますが、面会交流の実際は年々歳々複雑で悩ましいものになっていますので、離婚される当事者がさらに真剣に考えて決めてほしいと切に願う次第です。
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